Q.手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)とはどんな病気ですか?
手首の付け根にある「手根管」というトンネルを通る神経(正中神経)が圧迫され、親指・人差し指・中指に強い「しびれ」や「痛み」が出る病気です。
【院長の所感】明け方に手がジンジン痺れて目が覚め、手を振ると少し楽になる…というのが典型的な症状です。特に更年期以降の女性や、妊娠・出産期の方に多く見られます。自転車のハンドルを握ったり、スマホを持ったりするだけで痺れが強くなるため、日常生活の質(QOL)を著しく落としてしまう、非常に厄介でストレスの大きい疾患です。
Q.手術を勧められましたが、整骨院で治りますか?
しびれが軽度〜中等度であれば、手首への負担を減らす手技や固定、超音波治療などで症状を改善できるケースは多くあります。しかし、親指の付け根の筋肉が痩せ細っている(母指球筋の萎縮)重度の場合は、手術が適応となります。
【院長の所感】「絶対に手術はしたくない!」と駆け込まれるお気持ちはよく分かります。私たちも保存療法で治すために全力を尽くします。しかし、親指の付け根がペコッと凹んで、OKサインが作れなくなっている場合は、すでに神経が死にかけている危険なサイン(レッドフラッグ)です。この場合は、一生の後遺症を防ぐため、誠実かつ速やかに手術ができる専門医をご紹介する判断をします。
Q.マッサージで手首を強く揉んでもらえば、しびれは取れますか?
手首の痛い部分(トンネル部分)を直接強く揉むのは絶対にNGです。神経の圧迫がさらに強くなり、しびれが悪化します。
【院長の所感】しびれている部分をグリグリと叩いたり揉んだりする方がいますが、火事にガソリンを注ぐようなものです。我々のアプローチは「遠隔操作」です。手根管を通過する「スジ(腱)」は、肘から下の腕の筋肉(前腕屈筋群)に繋がっています。この腕の筋肉のガチガチな緊張を優しく解きほぐすことで、手首のトンネルの窮屈さを解放し、神経の圧迫をスッと抜いていく職人技を行います。
Q.なぜ女性に多いのですか?手の使いすぎですか?
手の使いすぎ(タイピングや家事など)も原因の一つですが、一番の要因は「女性ホルモンの変動」です。ホルモンの影響で手首の靭帯がむくみ、トンネルが狭くなるためです。
【院長の所感】「そんなに手を酷使していないのに…」と不思議に思う患者様が多いですが、妊娠中や更年期など、女性の体はホルモンの波によって全身の組織が水分を溜め込みやすくなります(むくみ)。ですから、「使いすぎた私が悪いんだ」とご自身を責める必要は全くありません。体のシステムの変化に寄り添いながら、物理的な負担を最小限に抑えるサポートを私たちがさせていただきます。
Q.サポーターやテーピングは効果がありますか?
はい、非常に効果的です。特に夜寝る時に手首が曲がらないようにする装具(スプリント)やテーピングは、明け方のしびれを防ぐための必須アイテムです。
【院長の所感】人間は寝ている時に、無意識に手首を内側に曲げていることが多いです。この「曲げた姿勢」が、手根管のトンネルを最も狭くし、神経の首を絞めている状態になります。当院では、日中の仕事の邪魔にならないテーピングや、夜間の負担をゼロにする固定法など、患者様の生活スタイルに合わせた「24時間の手首の守り方」を具体的にアドバイスしています。
Q.首の骨(頚椎)の歪みも関係していると聞いたのですが本当ですか?
はい、本当です。指先に向かう神経(正中神経)の「大元の出発点」は首にあります。首の骨が歪んで神経の根元が圧迫されていると、指先のしびれがより悪化しやすい(ダブルクラッシュ症候群)という関係があります。
【院長の所感】「手首が痛いのに、なぜ首や肩の治療をするの?」と驚かれるかもしれません。しかし、川の上流(首)が濁っていれば、下流(指先)の水も必ず濁ります。手根管症候群がなかなか治らない方の首を診ると、見事にストレートネックや猫背になっています。当院では、手首の局所治療と同時に、KYTなどで首や背骨の根本的な神経の通り道を整えることで、劇的な改善を目指します。
Q.治療期間はどのくらいかかりますか?
神経のダメージが回復するのには時間がかかるため、1〜2回で魔法のように消えることはありません。週1〜2回の通院を数ヶ月間継続し、しびれの頻度や強さを徐々に減らしていく根気強い治療が必要です。
【院長の所感】神経の回復スピードは、1日にわずか1ミリ程度と言われています。焦るお気持ちは痛いほど分かりますが、「昨日より今日、今日より明日、少しずつ楽になる時間が増えてきた」という小さな変化を見逃さず、確実に前進していくことが大切です。不安な時期を乗り越えられるよう、毎回丁寧に状態をチェックし、精神的にもしっかりとサポートさせていただきます。
Q.日常生活で気をつけることはありますか?
手首を「極端に曲げた状態」や「反らせた状態」を長時間続けないことです。また、重いフライパンを片手で持ったり、雑巾を強く絞るような動作は避けてください。
【院長の所感】日常生活には、手根管をいじめる動作が溢れています。スマホを持つ時に手首を内側に巻き込んでいませんか?自転車のハンドルに体重をかけすぎていませんか?ちょっとした「体の使い方の癖」を修正するだけで、神経への負担は劇的に減らせます。通院時に「どんな時に一番しびれますか?」とお聞きし、その動作をどう改善すればいいか、具体的な生活指導を徹底して行います。